
[企業経営、商店街・まちづくりのアドバイザー]
「めぐろ診断士会」は、NPO法人 目黒中小企業診断士会の略称です。
NPO法人目黒中小企業診断士会では、令和7年9月23日(火)に目黒区の田道住区センターにて令和7年度上期研修会を開催しました。
今回は、「外国人材の活用 中小企業診断士として知っておくべきこと」をテーマに、当会会員の中小企業診断士・菱田州男先生に御登壇いただき、41名(会場参加16名、オンライン参加25名)が参加しました。
菱田州男先生は、現在、会社設立に必要な行政窓口(公証役場、法務局、国税。都税、社会保険、入国管理の手続き窓口)を一か所に集中した「東京開業ワンストップセンター(TOSBEC)」の相談員として東京で開業したい外国人に対する相談対応を行っており、ご自身の相談員としての体験を交えて、外国人材の各種在留資格制度や雇用される外国人材の義務、雇用者側の義務、外国人材の支援制度について110ページに及ぶレジュメを用いて網羅的にポイントを分かり易く解説していただきました。
講演ではまず、「来日外国人の現況及び外国人材の推移」として、最近の新聞記事や出入国在留管理庁のデータなどに基づいて、建設業や医療・福祉分野など人材不足が深刻な業種では外国人材への労働力依存度が上昇しており、2040年には外国人材が97万人不足するという日本国の外国人材依存の現状が示されました。 これを受けて、これに対する日本政府の出入国管理行政の政府方針は、「外国人の移住は認めず、一時的な滞在を許可する」という原則だが、現実の人材不足状況を踏まえ、優秀な技能や専門分野を持つ高度専門職を歓迎し、単純労働者は選別して在留許可する方針であり、1990年頃から外国人材の受入拡大政策を続けているという日本の政策の現状が紹介されました。
次に、クイズ形式で技能実習生や外交官夫人のアルバイト可否を考えさせるなど、具体的な実例にもとづいて受講者も一緒に確認していく工夫された講義方法で、技能実習生、特定技能資格、技術・人文知識・国際業務在留資格(技人国)、高度専門職ポイント制度、経営管理在留資格など、在留資格の種類とその違いについて理解を深めました。
その中で近年、経営管理在留資格の不正申請が横行していることから、当該資格取得要件の厳格化が本年10月の省令改正を目指して検討されており、経営管理資格取得要件の一つに「公認会計士や中小企業診断士による新規事業計画確認の義務化」が盛り込まれる見込みであること、すなわち我々中小企業診断士の独占業務が設けられる可能性が紹介されました。
講演後の質疑応答では、この中小企業診断士の独占業務についての期待や、相談員業務でよくある相談内容、在留資格の変更の手続き、不法就労の事実を知った時の対処法など、さまざまな質問に対して、講師ご自身の「東京開業ワンストップセンター(TOSBEC)」での実体験を踏まえた裏話など具体的な知見に基づいて解説を加えていただき、活発な意見交換によってさらに理解を深めることができました。
今回の講演は、全体を通じて、講師の先生の日頃の業務における具体的な体験にもとづいてお話しいただけたので、内容が盛り沢山ではありましたが、他ではなかなか聴くことができない有意義な研修会となりました。 今後、我々の支援先や専門家派遣先の中小企業経営者や日本でビジネスを展開したい外国人から在留資格制度や外国人材受入等に関する相談を受けた際に、今回の講演で学んだ知識を活かしてアドバイス・支援していきたいと思います。
(富永 周一郎)
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