「めぐろ診断士会」は、NPO法人 目黒中小企業診断士会の略称です。

活動紹介

NPO法人目黒中小企業診断士会にて「下期研修会」を開催しました

令和5年3月25日(土)NPO法人目黒中小企業診断士会では下期研修会を開催しました。今回のテーマは、「親子間事業承継の成功の秘訣教えます!〜承継を伴う経営革新支援のポイント〜」です。


城南支部所属かつ、当会所属の中小企業診断士である島元昌美先生にご登壇いただきました。昨今目黒区内でも後継者がいないために廃業となる例が多く発生しており、島元先生も実際の支援の現場で昨年だけでもそのような例に2回も直面されています。


本セミナー1つ目のテーマとして、後継者教育があります。まずは、後継者が承継に当たってどのような点に不安を持つのかを島元先生の研究に基づき明らかにしていただきました。また、後継者教育に当たっては「人」「資産」「目に見えにくい経営資源」の承継についてのフレームを整理して解説していただきました。昨今は特に「目に見えにくい経営資源」の承継が注目されておりますが、これは中小企業診断士の最も強みとするところです。経営理念や、信用、明文化されていない技術や人脈などを明らかにすることで次世代に無形の経営資源を引き継ぐことがスムーズな承継につながることを理解しました。
経営者になるための教育としては、自社技術やノウハウについての社内教育、同業他社での勤務等が後継者の成長につながったと評価されています。社内での役職は、いきなり経営者として関与するのではなく後継者が自社の商品、サービスを深く理解できるよう現場周辺からスタートし、経営者に近づいていくステップを踏むことで承継後に大きなトラブルが発生することなく、円滑な承継ができることを、事例を交えて解説いただきました。


2つ目のテーマに、事業の磨き上げと経営革新の必要性があります。事業のライフサイクルは約30年と言われていますが、これは親子の年齢差とほぼ同じとなっており、承継者が新たなアイディアを適用して経営革新を行なうことで長期的な成長ができるようになると考えられます。統計的にも、経営者が若いうちに事業を引き継いだ方が売上や資産がプラスに働く可能性が高いという分析結果は新鮮に感じられました。本人の資質のうち、「企業存続意識の高さ」が承継初期のプロセスにおいては重要かつ成功の要因となるなど、独自の仮説をアンケートの統計分析によって検証されており大変興味深い内容でした。「変革指向」の高さは親子間で引き継がれやすいこと、社外ネットワークを持つほど「変革性」を高めやすいなど変化の激しい時代においてどのような要素が重要となるかなど示唆に満ちた分析結果でした。
最後のテーマで、親子間承継のポイントをまとめていただきました。①後継者教育の実施をすること、②承継前の事業の磨き上げ、環境整備とし社内外のネットワークを高めること。 ③後継者による事業の磨き上げのために先代が作成したネットワーク等を惜しみなく利用して支援することが承継の精度を高めるということが理解できた勉強会となりました。


(稲垣 克剛)


前のページに戻る >>