[企業経営、商店街・まちづくりのアドバイザー]
「めぐろ診断士会」は、NPO法人 目黒中小企業診断士会の略称です。
目黒中小企業診断士会では、メンバーのスキルアップを目的に、毎年春と秋に研修会を開催しています。今年の秋の研修会は、(株)エヌ・ウェーブ(N-WAVE)の矢萩章様をお迎えし、「アジア市場の開拓と進出について」をテーマにご講演いただきました。
1996年創業のN-WAVEは、東京の秋葉原に本社を置き、資本金1,000万円、従業員7名の企業である。主な業務は「医療情報システム」や「診療支援システム」のソフトウェアの受託開発を行っている。海外ではバングラデシュにN-WAVE Co.,(BD) Ltd.を2009年に設立し、ICカードを利用した事業開発を行っている。現在は国営バス会社にIC乗車カード「SPASS」を導入し、運営管理を行っている。
2007年5月に日本で職を探していたバングラデシュ人を2名採用し、2008年2月に開催されたSoft Expo2008にICカード技術を出展した。その出展ブースにバス会社の方が来られ、バスチケットを販売する従業員の売上の着服に悩んでいるお話を聞いた。それをきっかけに、同年6月に民間バス会社向けにバスの料金徴収システムにICカードを利用するセミナーを開催した。
N-WAVEは 現地法人を設立し、バスチケットショップを開設した。そして、国営バス会社(BRTC)を含む数社と料金徴収システムに関する実証実験の覚書を取り交わし、テスト運用を開始した。結果は、運賃売上額が45%も増加した。
古い紙製チケットを販売していたチケットショップ からICカードを使ってチケットを販売することにより、売上金の販売員の不正防止、つり銭の不要、偽物チケットの販売防止などの効果が確認され、さらに、売り上げ不振による従業員の給与支払いの遅れや未払いの改善、バスの維持管理や新規購入まで目途がつくようになった。
BRTCは、2010年5月に新たなバス調達の報告式典にて、バングラデシュのハシナ首相も出席され、マニフェストの1つである「デジタルバングラデシュ」を進める一環であるという演説があった。
矢萩社長は、今後は他の東南アジアの国々への展開やバングラデシュ内の他の業界への深堀を行いたいという事だったが、日本の中小企業が単独でそれらの国々の企業とビジネスを展開していくことはかなり難しいと感じ、様々な異業種と一緒に進出するのが最も効果的ではないかということでした。