「NPO法人 目黒中小企業診断士会春季研修会」に参加して
NPO法人 目黒中小企業診断士会では任意団体として発足した平成15年より、メンバーのスキルアップを目的として、毎年春季と秋季に研修会を開催しています。今春は東京都中小企業診断士協会 城南支部の奥野 晃治氏を講師にお迎えし、「ツーリズムによる地域経済の活性化」というテーマでご講演頂きました。
奥野氏は大手旅行会社で約20年間法人営業を担当され、観光資源の発掘・活用による商品開発、販路開拓や、官公庁等と協力しビジット・ジャパン・キャンペーン推進に取り組んでこられました。今は法人事業の全社戦略策定に従事されています。
講演内容は、観光を取り巻く現状と今後、地域経済活性化に貢献する観光まちづくり、中小企業診断士の役割という流れでした。
- ■ 受容度の向上が観光競争力強化の鍵
観光業は非常に裾野の広い産業であり、国際観光市場が拡大する中、日本も2020年までに訪日外国人旅行者数を現状の倍にするなど観光立国政策を推進しているとのこと。ただ訪日外国人旅行者数は2012年で世界33位、観光分野の国際競争力も日本は14位と低く、特に文化、自然、顧客対応面で大きな魅力を持ちながら、受容度・親近感において他国に劣っており、その向上が課題であることをご説明頂きました。
- ■ 住んでよし、訪れてよしの地域づくり
観光まちづくりでは、観光スタイルが「団体」から「個人」、「観光地」から「生活地」へ変化していることを踏まえ、ターゲットを絞り地域の特徴を活かした独自性の高い「着地型観光」施策の推進が必要で、確固たる運営主体作りと地域の様々な産業と行政との連携が重要とのことでした。
事例として、修学旅行生らにモノづくりを体験してもらう東大阪の産業観光、朝の銭湯と朝市での朝食を組み合わせ出張者の宿泊を促す八戸の取組みを紹介頂きました。
- ■ 診断士が組織構築・推進のエンジンに
最後に、観光業界における診断士の役割として2点ヒントを頂きました。1つは中小企業庁だけでなく観光庁との関係も深め、事業受託の際の企画競争入札などのとりまとめを行うこと、そして観光まちづくり推進のエンジンとなることです。特に診断士の現状分析や課題抽出、調整能力が求められる場面は多々あるとのことでした。
今回は、観光を通じた地域活性化や行政との連携の重要性など、普段得難いアドバイスが頂け、大変有意義な研修会でした。
(めぐろ診断士会 須鑓 孝彦)
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